ヤング・グレイヴィー『SUPA GOOD!!!』 和訳

今回は今年の初め頃からちょっと気になっていたヤング・グレイヴィー(Yung Gravy)の『SUPA GOOD!!!』 を勝手に訳してみました。ノリノリのラップなのに意外にも簡単な英語表現で構成された歌詞なので、ぜひ口ずさんでみてくださいね。

ソウルシンガーのレジェンド、ジェームス・ブラウン(James Brown)によるコラボ曲で、映画『ドッグマン(原題: Dog Man)』の主題歌として使用されています。オリジナルは、ジェームス・ブラウンの名曲『I Got You (I Feel Good)』のリミックス。2025年1月15日にSNSでプレビューが公開され、1月24日に正式リリースと動画が公開されました。

ヤング・グレイビー(Yung Gravy)ってどんな歌手?

本名はマシュー・レイモンド・ハウリ(Matthew Raymond Hauri)。米国ミネソタ州ロチェスター出身のラッパー。ユーモアとレトロなサンプルを融合した “コメディー ヒップホップ” スタイルが特徴。代表曲『Mr. Clean』では1954年の『Mr. Sandman」を、『Gravy Trainでは1976年の『Right Back Where We Started From』をサンプリングするなど、古き良きソウルやファンク音楽を現代風にアレンジしています。
2017年に SoundCloud での活動を本格化させ、デビュー曲「Mr. Clean』がプラチナ認定を受けて注目を集めました。bbno$(こちらを参照Rich Brian&bbno$『edamame』和訳)とのコラボでも知られ、複数のEPやアルバムをリリースしています。2019年の初スタジオアルバム『Sensational』、2020年の『Gasanova』、2022年の『Marvelous』など。
母親層に人気が高い”という異色のポップカルチャーっぽさも持ち味。TikTokなどSNSでも話題のアーティストです。

ジェームス・ブラウン(James Brown)ってどんな歌手?

ソウルとファンクを切り拓いた音楽界の革命児。ゴッドファーザー・オブ・ソウルと呼ばれる人物です。ソウル、ファンク、R&Bの発展に大きな影響を与えました。特に『Papa’s Got a Brand New Bag』や『I Got You (I Feel Good)』などは代表曲で、リズムを強調した独自のスタイルはファンクの基盤となりました。パワフルな歌唱、エネルギッシュなダンス、圧倒的なライブパフォーマンスで知られる。マイケル・ジャクソン、プリンスなど後世のアーティストに絶大な影響を与えました。公民権運動の時代に黒人の誇りを歌い、『Say It Loud – I’m Black and I’m Proud』はその象徴的な曲の一つです。

映画『ドッグマン(原題: Dog Man)』ってどんな映画??

半人半犬のスーパーヒーローDog Manが、悪猫Peteyや幼いLil Peteyとの出会いを通じて、“家族”や“友情”の本当の意味を見つける、2025年公開のファミリー向けアニメ映画。家族の絆、友情、責任、和解といったテーマをユーモアと共に描いた、子どもから大人まで楽しめる温かな作品です。

SUPA GOOD!!! — Yung Gravy

WOW! I feel good!
Super fly, super good,
shoulda, coulda, knew I would
Super fly, super fresh,
Ask yo’ mama, she’s impressed
Super fly, super cold,
Super mean, super nice,
Super clean
Yeah, you know it
So good!
Yeah, we’re always
(So good!)
Soooo good, baby
WOW! I feel good!

WOW!気分は最高だぜ!
最高にイカしてるぜ
ごちゃごちゃ言ったって
すげーイカしてるぜ
ママだってびっくりしてる
すげークールで、鬼ヤバで、スイートだぜ
何もかもがスーパークールだせ
わかるだろ?
気分は最高だぜ!
いつでも最高!
とびきり最高なんだ、ベイビー
WOW!気分は最高だ!

So locked in that the key gone, ayy
In my bag like I’m FritoLay
Crispy golden,
Crème brûleé, rare
Like a T-bone steak
I’m good, mhmm
I’m good, i’m good, uh-huh, uh-huh
I’m great! I’m great! I’m better than ok
I’m like
OOOOOOOOOOOOOOH!
Sometimes it takes twoooooooooooo!
Never lack it, anything we
Dooooooooo!
That’s my crew
I got it, you got it
We got it
Yeah, you know it

抜け出せないほどハマりまくってる
俺のバッグは宝石箱だぜ
カリッと輝くポテトチップス
甘いクレームブリュレ
レアなTボーンステーキ、全部がスペシャルさ
気分最高――ちげーよ、それ以上に最高だ
OKで終わるようなレベルじゃない
OOOOOOOOOOOOOOH!
2人ならなんでもできる
俺たちはいつも一緒だ
俺も、お前も、みんな
仲間なんだから
わかるだろ

So good!
Yeah, we’re always
(So good!)
Soooo good, baby
WOW! I feel good!

気分は最高だぜ!
いつでも最高!
とびきり最高なんだ、ベイビー
WOW!気分は最高だ!

Shake and bake, we takin’ dubs
Bake the cake and I rake it up
Make it rain, I share the love
Gravy train, come say what’s up
Stay poppin’
The place hoppin’
Yeah, we got the place hoppin’
It ain’t stoppin’

とっとと勝利をつかんで分け合おう
焼き立てのケーキを山分けするように
金を降らせて、愛も分けるんだ
楽に稼げるから気軽に声かけてくれ
盛り上げてやるから
もう止められないぜ

We be like
OOOOOOOOOOOOOOH!
Sometimes it takes twoooooooooooo!
Never lack it, anything we
Dooooooooo!
That’s my crew
I got it, you got it
We got it
Yeah, you know it

OOOOOOOOOOOOOOH!
2人ならなんでもできる
俺たちはいつも一緒だ
俺も、お前も、みんな
仲間なんだから
わかるだろ

So good!
Yeah, we’re always
(So good!)
Soooo good, baby
WOW! I feel good!

気分は最高だぜ!
いつでも最高!
とびきり最高なんだ、ベイビー
WOW!気分は最高だ!

Y’all ever heard a producer freestyle?

おい、プロデューサーの即興を聴いたことあるか?

WOW! I feel good!
Supa fly, supa good,
shoulda, coulda, knew I would
Super fly, super fresh,
Ask yo’ mama, she’s impressed
Super fly, super cold,
Super mean, super nice,
Super clean
Yeah, you know it

WOW!気分は最高だぜ!
最高にイカしてるぜ
ごちゃごちゃ言ったって
すげーイカしてるぜ
ママだってびっくりしてる
すげークールで、ヤバイくらいスイートだぜ
何もかもがスーパークールだせ
わかるだろ?

So good!
Yeah, we’re always
(So good!)
Soooo good, baby
WOW! I feel good!
So good!

気分は最高だぜ!
いつでも最高!
とびきり最高なんだ、ベイビー
WOW!気分は最高だ!

I got you!

任せとけ!

歌詞を掘り下げてみよう

ラップには特有のスラングが多く登場します。上記はラップらしく聞こえるように意訳をしていますが、もっと深く歌詞を理解するために深掘りしてみましょう。

Super fly

【スラング】めちゃくちゃイケてる、最高にカッコいい
1970年代にアフリカ系アメリカ人が使用していたスラングで、ファッションやノリが「超クール!」っていう褒め言葉です。1972年にカーティス・メイフィールドがリリースしたサウンドトラック 『Super Fly』で、ブラックミュージックやストリートカルチャーの象徴的な言葉になり、以後「スタイリッシュでヤバい」ことを表す定番フレーズに。日本ではシンガーソングライター Superfly越智志帆さん) は、この言葉をアーティスト名に。「自由に羽ばたく」「カッコよくありたい」という思いからきているそうです。

Supa fly, supa good, shoulda, coulda, knew I would

超イカすぜ、マジですげー “やれたかも”じゃない、最初から“やる”と決めてた

super”を畳み掛けるアナフォラ(反復)good / shoulda / coulda / would は母音の押韻

coulda:could have (~できたのに)
woulda:would have (~しただろうに)
shoulda:should have (~すべきだったのに)

後悔やたらればを言う時に使用されます。

Super fly, super cold, super mean, super nice, super clean

超イカして、超クール、鬼ヤバ、でも優しさも満タン、仕上がりは超クリーン

cold:氷みたいにクール
mean:容赦ない腕前の意
nice:優しい
clean:キメも見た目も無駄なし、音作りがクリーンの含意も。

合わせてすべてが超すげーという意味です。

So locked in that the key gone

抜け出せないほどハマりまくってる

locked in:【スラング】めちゃくちゃ集中してる、完全に夢中になってる
the key gone:鍵がなくなった=抜け出せない

鍵を捨てるほど集中してる、抜け出せないくらい夢中、ゾーンに入りすぎて戻れない、という意味になります。

Shake and bake, we takin’ dubs

とっとと勝利をかっさらおう

Shake and bake:【スラング】素早く決めて勝つ、カッコよく決める。アメリカのバスケットボール用語。特定のプレーや何かすごいことを成し遂げるという意味で使用されます。スラングですが、中継などで使用されることも。

shake:揺さぶる、フェイントをかける
bake: 火を入れる、焼く。この場合は、〜を仕留める、〜を抜き去る

we takin’ dubs:【スラング】勝ち続ける。Dubは勝利を意味するWinの「W」の発音に由来。俺たちは勝ちをかっさらう的な意味です。

Bake the cake and I rake it up

成果を生み出して、全部かき集める

bake the cake:ケーキを焼く → 成功・成果を作り出す
rake it up:かき集める(金や成果を大量に得る)

Make it rain, I share the love

金も愛も分けてやるぜ

make it rain:クラブなどで札束を空中にまく
share the love:愛を分け合う

Gravy train, come say what’s up

楽勝で稼いでるから、気軽に声かけろ

gravy train:【スラング】労力や努力をほとんどせずに、楽して大金を稼ぐこと、あるいはその方法や機会を指す
come say what’s up:挨拶に来い、声かけろ

Stay poppin’ / The place hoppin’

俺たちの場はいつでもアツい、俺たちがこの場を盛り上げてる

stay poppin’:【スラング】輝き続ける、人気者でいる、常に話題の中心にいる
The place hoppin’:会場が跳ねるように盛り上がってる。
It ain’t stoppin’:止まらねぇ!

上記、3つの単語はわかりやすく綺麗ににoppin’という韻を踏んでいます。

I got you!

任せとけ!
任せろ、の他に、ノリ・グルーヴを掴んだ、ジェームス・ブラウンの原曲に呼応する締めのパンチラインを含む多義的な決め台詞。

単語・イディオム 意味・解説
SUPA super、すごい
yo’ yourの略
be impressed 〜に関心する、〜を印象付ける
FritoLay ポテトチップスの銘柄
rare レアな、珍しい、生焼けの
t-bone steak ステーキの部位
lack 〜が不足する
rake up 〜をかき集める
ain’t 【スラング】~でないという。am not, is not, are not, have not, has not の短縮形
crew 仲間、乗組員、メンバー
freestyle フリースタイル、即興
y’all you allの略