BookTok(ブックトック)は、TikTok上の読書好きのコミュニティで、主に10代〜20代の若者が動画(#BookTok)でおすすめの本や感想を紹介し、数百万冊規模のベストセラーを生み出すの影響力を持つトレンドです。
感情的な感想や泣けるシーンの共有がメインで、専門家による書評ではない生の読者の声が共感を生んでいます。簡単な単語と文法で、内容を説明するのではなく、投稿者の感情を肩代わりする特有の英語フレーズが多く登場します。今回はBookTokでよく見かける感情英語フレーズをご紹介します。
BookTokでよく見かける感情英語フレーズ10
BookTokでよく見かけるフレーズを解説します。これらの感情を代弁するスレーズは、会話で使うことが目的ではなく、投稿者が自分の感情を詳細に説明せず、英語一文にその役割を担わせます。
I miss who I was before everything changed.
| I miss who I was before everything changed. |
| 意味 |
すべてが変わる前の自分が恋しい |
| 解説 |
Miss(恋しい)の対象になっているのは、出来事や登場人物ではなく who I was という自分。before everything changed は、変化がすでに起きてしまった前提で使われている。そのため「戻りたい」という願望よりも、現在との距離を示す言い方として使われることが多い |
I don’t recognize myself anymore.
| I don’t recognize myself anymore. |
| 意味 |
もう自分が自分じゃないみたいだ |
| 解説 |
自分の内面を説明するというより、自分を外側から見ている状態。鏡を見ているのに、そこにいる人物が誰なのか分からない、そうした感覚を余計な説明なしで伝えている |
I didn’t think it would hurt this much.
| I didn’t think it would hurt this much. |
| 意味 |
ここまでつらくなるとは思ってなかった |
| 解説 |
hurtの理由が説明されていない。何が起きたのか、誰が関わっているのか、そうした情報はすべて省略されている。分かっているのは「想定していたより痛かった」という事実だけで、感情が原因から切り離されている |
I’m tired in a way sleep can’t fix.
| I’m tired in a way sleep can’t fix. |
| 意味 |
寝ても取れない疲れがあるんだ |
| 解説 |
体調の話ではなく、精神的な消耗を示す。BookTokでは、ベッドや無音の映像で状態を説明するが多い |
It was never supposed to end like this.
| It was never supposed to end like this. |
| 意味 |
こんな終わり方じゃなかった |
| 解説 |
be supposed to は「予定」よりも「あるべき形」という意味に近い。そのためこの文には、諦めと同時に、「こうなるはずではなかった」という感覚が残る。結末を否定するのではなく、ズレを示している |
I feel too much.
| I feel too much. |
| 意味 |
感じすぎてしまうのよね |
| 解説 |
BookTokでよく使われる表現。感情が多すぎて、整理しきれていない状態を示しているが、それを評価したり説明したりはしない。状態だけが、短く置かれている |
I keep replaying everything in my head.
| I keep replaying everything in my head. |
| 意味 |
頭の中でぜんて何度も繰り返してしまうんだ |
| 解説 |
読んだ内容や会話などが、自動的に何度も再生されてしまう状態を、一文で表現している |
I wish I could go back to before I knew.
| I wish I could go back to before I knew. |
| 意味 |
知ってしまう前に戻れたらなー |
| 解説 |
ここで後悔しているのは、行動ではなく「知ってしまったこと」そのもの。before I knew という言い方により、一度知ってしまったことは、知らなかった状態には戻れないこという意味に |
I’m trying to let go, but I don’t know how.
| I’m trying to let go, but I don’t know how. |
| 意味 |
手放し方が分からないんだ |
| 解説 |
trying が入っている点が特徴的。すでに手放せたとは言わず、意志と未達成の状態を同時に表現。結論に到達しないまま、途中で止められた状態を指す |
Some things stay with you.
| Some things stay with you. |
| 意味 |
消えずに残り続けるものがある |
| 解説 |
主語や具体的な内容は示されないため、読む側が自分の経験を当てはめやすい。この曖昧さ自体が、使われやすさにつながっている |
海外で大流行している「#BookTok」とは何?
BookTokは、TikTok上で広がった読書コミュニティですが、一般的な書評文化とは性格が異なります。
多くの投稿では、あらすじや評価は語られず、「その一文を読んだときの反応」だけが表示されます。主役としての本ではなく、「感情が動いた理由」として本が登場します。
BookTokの特徴と効果
BookTokが若年層に広がった背景には、短い言葉で状態を共有できるから。長い説明は不要で、一文で十分。それが共感を呼ぶかどうかが重視されます。
口コミも、おすすめという形ではなく、反応の共有として広がります。その積み重ねが、結果的にトレンドや購買につながっていくのです。
BookTokの成功事例
海外のYA(ヤングアダルト)小説で、#BookTokで取り上げられベストセラーになった例が多数あります。
They Both Die at the End
| They Both Die at the End |
| 作者 |
Adam Silvera |
| 出版 |
2017年ですが、BookTokで再燃。NYTベストセラーリストに再ランクイン |
| 引用例 |
I’m not ready to die. (まだ死にたくない)のような短文が大量に引用された。 典型的な「一文→感情→購入」型ヒット |
The Song of Achilles
| The Song of Achilles |
| 作者 |
Madeline Miller |
| 出版 |
2011年ですが、BookTokで再燃。 世界的ベストセラーへ再浮上。書店の「#BookTok棚」の常連 |
| 引用例 |
I would know him in death. (死んでも私には彼だと分かる)などの一文がバズ化。神話ベースだが、語り口はYA的で、恋愛・喪失・自己犠牲という感情軸がうけた。「文学作品がYA文脈で消費された」代表例 |
A Court of Thorns and Roses
| A Court of Thorns and Roses |
| 作者 |
Sarah J. Maas |
| 出版 |
2015年。#BookTokで爆発的拡散。シリーズ累計数千万部規模に |
| 引用例 |
BookTokでは、ストーリー説明ほぼなく、This scene ruined me.(このシーンで情緒が終わった)など、キャラ名+感情一言、という動画が主流。「シリーズ丸ごとBookTok経由で拡張した」例 |
Heartstopper
| Heartstopper |
| 作者 |
Alice Oseman |
| 出版 |
出版:2019年。ヤングアダルト・グラフィックノベル。BookTokで広がりNetflix実写化 |
| 引用例 |
Don’t let anyone make you disappear.(誰にも、自分を消させないで)など引用が非常に多い。YA世代の自己認識と強く結びついた「短い言葉×感情」で拡散した典型 |