山本由伸、ついにワールドシリーズ制覇。Losing isn’t an option.が全米でバズった理由

2025年秋、ロサンゼルスの青い空の下で、日本人投手・山本由伸選手が歴史を塗り替えました。
ワールドシリーズで3勝を挙げ、日本人投手として初のMVPを獲得。その活躍以上に注目を集めたのが、彼のひとこと。

Losing isn’t an option.
負けるという選択肢はない


この言葉は、アメリカで瞬く間にミーム化し、ドジャースファンの合言葉となりました。本記事では、その名言が生まれた背景と、ワールドシリーズでの伝説的な活躍、そして大谷翔平、佐々木朗希両選手と共に築いた“Japanese Big Three”の軌跡を、英語表現とともに解説します。

経緯 — オリックスから世界の頂点へ

2023年オフ、オリックス・バファローズからポスティングシステムを利用してロサンゼルス・ドジャースに移籍した山本由伸選手。同時期にロサンゼルス・エンゼルスから移籍してきた大谷翔平と共に、2024年にはドジャースを見事ワールドシリーズ制覇へと導きました。

翌2025年には、持ち前の「ムエンゴ(援護点の少なさ)」にも耐えながら安定感を発揮。さらに千葉ロッテマリーンズから移籍した佐々木朗希選手も加わり、日本人3人が揃ったドジャース先発陣は前人未踏の4年連続地区優勝を達成しました。

ワールドシリーズ — 日本人投手として初のMVP

ポストシーズンでも快進撃を続けたドジャースは、トロント・ブルージェイズとの激闘の末にワールドシリーズを制覇。シリーズ中に山本選手は3勝を挙げ、日本人選手としては松井秀喜(2009年、ヤンキース)以来16年ぶり2人目のワールドシリーズMVPに輝き、この瞬間、彼の名前は本当の意味で世界に刻まれました。

A Japanese pitcher stands atop baseball’s biggest stage.
日本人投手が野球界最高の舞台で頂点に立ったんだよ

山本由伸選手に関するニュース記事

Japanese pitcher Yoshinobu Yamamoto was named Most Valuable Player of baseball’s World Series after helping the Los Angeles Dodgers clinch their second straight title.
日本人投手 山本由伸が、ロサンゼルス・ドジャースの2年連続優勝に貢献し、ワールドシリーズの最優秀選手(MVP)に選ばれた
ロイター, 11/ 2 2025

Yamamoto completed one of the most dominant postseason runs ever by a Japanese pitcher, sealing Game 7 on zero days’ rest.
山本は日本人投手として前例のないほど支配的なポストシーズンを締めくくり、休養ゼロで第7戦を締めた
AP News, 11/ 2 2025

Yamamoto’s ironman performance on zero days’ rest crowned a historic World Series for the Dodgers.
休養ゼロでの鉄人のような投球が、ドジャースにとって歴史的なワールドシリーズを締めくくった
The Guardian, 11/ 2 2025

A Japanese ace stands tall on baseball’s biggest stage.
日本のエースが、野球界で最も大きな舞台に堂々と立つ
ESPN(World Series Highlights特集)

From Orix to LA glory: Yamamoto delivers Japan’s first pitching MVP in World Series history.
オリックスからロサンゼルスの栄光へ――山本が日本人初のワールドシリーズ投手MVPを獲得
MLB.com, 11/3 2025

「Losing isn’t an option.」がミーム化

山本選手を一躍“文化的アイコン”にしたのが、ある一言。ミルウォーキー・ブリュワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第2戦(10月15日)を前にした記者会見で、記者から意気込みを問われた山本選手。

Losing isn’t an option.
負けるという選択肢はない

その劇的なフレーズと、その後の有言実行ぶりが瞬く間に話題となり、チームメイトの間でのジョークから始まり、SNS上では#LosingIsntAnOptionがトレンド入り。#LIAO というハッシュタグや、Tシャツ、GIF、編集動画などが相次ぎ、まるで“Yamamoto Verse”と呼ばれる現象のように広がりました。

実際の意味 — 通訳が生んだ“名言”

「何としても負けるわけにはいかないので」
実際の山本選手の日本語での発言は、より控えめで誠実なもの。

これはオリックス時代から、彼が自分への戒めとして繰り返してきた言葉。それが英語に翻訳される過程で、ドラマチックな “Losing isn’t an option.” という表現に変わり、結果的に、通訳・翻訳の妙が生んだミームとなりました。

英語で学ぶ「山本由伸の名言」とMLB表現
💬 名言から学ぶ英語表現

LOSING ISN’T AN OPTION

losing isn’t an option
意味 負けるという選択肢はない
解説 isn’t an optionは、あり得ない・選択肢に入らない、という意味。強い決意を表す定番の英語表現です。
この構文はネガティブ文とセットで使われることが多く、フォーマルにも日常にも応用可能。

Failure isn’t an option when the team depends on you.
チームが君を頼りにしているとき、失敗は許されないよ

Giving up isn’t an option for me anymore.
もう諦めるという選択肢はないよね

WALK THE TALK

walk the talk
意味 言葉通りに行動する、有言実行する
解説 talk(言葉)に対してwalk(行動)で示す、という発想。リーダーシップを語る時にもよく使われます。

He always walks the talk — that’s why teammates trust him.
彼はいつも言葉通りに行動する。だからチームメイトから信頼されているんだよ

You’ve got to walk the talk if you want to be respected.
尊敬されたいなら、言葉だけじゃなく行動で示すべきだ

ON ZERO DAYS’ REST

on zero days’ rest
意味 休養ゼロで
解説 on … days’ restは「〜日の休養で」という意味のMLB用語。通常、先発投手は4〜5日休むため、“zero days’ rest” は超人的。

Yoshinobu came back on zero days’ rest and still dominated the lineup.
由伸は休養ゼロで登板しながらも打線を完全に支配したんだよ

Pitching on zero days’ rest takes incredible stamina.
休みなしで投げるには信じられないほどの体力が必要なんだよ

IRONMAN PERFORMANCE

ironman performance
意味 鉄人のようなパフォーマンス
解説 Ironmanは「鉄人」。つまり耐久性や精神力を称える言葉。スポーツだけでなくビジネスでも使えます。

Yamamoto delivered an ironman performance in Game 7.
山本は第7戦で鉄人のような投球を見せたんだ

It was an ironman effort — pure discipline and focus.
まさに鉄人の努力だったよ。紛れもなく集中と規律がもたらした勝利だね

GAME-SAVING DOUBLE PLAY

game-saving double play
意味 試合を決めるダブルプレー
解説 game-savingは「試合を救う」という意味の形容詞。野球だけでなく、サッカーやバスケなどでも使われます。

That game-saving double play sealed the championship.
あの試合を救ったダブルプレーが優勝を決めたんだ

He turned a game-saving catch into a highlight of the year.
彼の試合を救うキャッチが今年のハイライトとなった

MEME-WORTHY

meme-worthy
意味 ミームになる価値がある、ネタになるくらい面白い、ミーム化するほど話題の
解説 striking / iconic that it deserves to become a memeなども同意義。フォーマルな場面ではあまり使われませんが、SNS、記事、YouTubeコメントなどでは非常に一般的な表現です。
ミームとは、インターネット上で広がる面白い画像や動画、文章、またはそれらが広まる文化そのものを指します。

① 山本由伸の名言を使うなら

Yamamoto’s quote “Losing isn’t an option.” was totally meme-worthy.
山本由伸の「負けるという選択肢はない」という言葉は、完全にミーム化するレベルだったよね

💡 “totally” や “absolutely” を加えるとカジュアル感がアップ。

② 日常的な使い方

That moment was so awkward it became meme-worthy.
その瞬間、あまりに気まずすぎてミーム化レベルだったね

③ SNS的な使い方

Her reaction was meme-worthy — Twitter went wild.
彼女のリアクションはミーム化確定で、Twitterが大盛り上がりだったよね

④ 芸能、スポーツ記事調

His celebration pose after the win was instantly meme-worthy.
勝利後のあのポーズは、即ミーム化レベルだった

⑤ 比喩的、汎用的な会話で

This photo is so funny, it’s meme-worthy.
この写真、面白すぎてミームになるよ

英語学習ポイント:meme-worthyの応用

-worthyは、〜にふさわしい、〜する価値がある、を表す形容詞です。いろんな単語を作ってみましょう。

 – news-worthy(ニュースになる価値がある)
 - quote-worthy(引用する価値がある)
 – share-worthy(シェアしたくなる)
 - Instagram-worthy(インスタ映えする)

⚾ドジャース 日本人トリオ — Japanese Big Threeが変えたドジャースの未来 —

新時代のローテーション:The Japanese Big Three

2025年のドジャースには、MLB史上でも異例の「日本人先発3本柱」が揃った。
それが、大谷翔平、山本由伸、 そして佐々木朗希の3選手。

Three Japanese pitchers leading one of the most iconic MLB teams — that’s global baseball.
日本人3投手がMLBの象徴的チームを率いる。それこそがグローバル野球だ
— ESPN, 5月 2025

大谷翔平 — The Two-Way Phenomenon(二刀流の奇跡)

怪我から復帰した大谷は、2025年には打率.319、44本塁打、OPS(On-base Plus Sluggingの略。出塁率+長打率)1.014を記録。一方で登板数を絞り、重要な試合での抑え(closer)として存在感を発揮。

Shohei’s rewriting what’s possible in baseball.
翔平は野球の「可能性」の定義を塗り替えている

山本由伸 — The Composed Ace(冷静なエース)

誰よりも沈着冷静に、誰よりも確実に勝つ!
そのマウンド上の静けさが、ドジャースの“安定の象徴”に。

Yamamoto doesn’t just pitch — he commands the game.
山本は投げるだけじゃない。試合を支配しているよね

佐々木朗希 — The Next Generation Fireballer(次世代の豪腕)

160km/h超のストレートと切れ味鋭いフォーク。アメリカメディアは彼を「The Lightning from Japan(日本から来た稲妻)」と呼ぶ。若さ、爆発力、勢い——山本選手や大谷選手の安定感とは違う魅力で、ドジャース投手陣に多様性をもたらしています。

When Sasaki steps on the mound, the radar gun becomes his canvas.
佐々木がマウンドに立つと、スピードガンがキャンバスになるね

世界から見た“トリオ”の意義

この3人が同じローテーションに並ぶことは、日米野球の新時代の象徴。
ドジャースは単なる強豪ではなく、「国境を超えた才能の交差点」へと進化しました。

It’s no longer just MLB — it’s truly the Major League of the World.
もはやこれはアメリカのリーグではない。真の“世界リーグ”だ。

The Dodgers have evolved from a powerhouse team into a crossroads of global talent.
ドジャースは強豪球団から、世界の才能が交差する場所へと進化したよね

The Dodgers are no longer just a dominant franchise — they’ve become a true intersection of international talent.
ドジャースはもはや支配的なチームではなく、真の国際的才能の交差点になったね

The Dodgers have transformed into a meeting point where talent knows no borders.
ドジャースは、才能が国境を知らずに集う交差点へと変わったよね

With Ohtani, Yamamoto and now Sasaki, the Dodgers’ rotation has become a truly global showcase.
大谷、山本、佐々木の加入により、ドジャースの先発陣はまさに世界規模のショーケースとなった — ESPN, May 2025

🧭 英語学習コラム:スポーツ報道でよく出る表現

英語表現 日本語訳 解説
rotation
(先発)ローテーション
先発投手の順番を指す
例:Dodgers’ rotation is unstoppable
closer 抑え投手 試合を締めくくる役割。大谷の新ポジションとして話題
fireballer 豪腕投手 fireball(火の玉)から派生。速球派投手への称賛語
command the game 試合を支配する 投球で試合の流れを完全にコントロールする
rewrite what’s possible 可能性の定義を塗り替える 大谷選手への定番フレーズ。挑戦や革新の象徴
the soul of the team チームの魂 チームに不可欠な存在を意味する。山本選手に多用
単語・イディオム 意味
stand atop 頂点に立つ
atop 【副】頂上に 【前】~の上に
MVP Most Valuable Playerの略。 最優秀選手
cinch 優勝する
the second straight title 2年連続のタイトル獲得
complete 締めくくる
dominant postseason runs 圧倒的なポストシーズンの戦い、頂点を極める
runには「連続する成功」「快進撃」という意味があり、
postseasonはレギュラーシーズンの後の「プレーオフ」や「ポストシーズン」を指します。そこに dominant(支配的な・圧倒的な)をつけることで、「他を寄せつけないほど強い/完璧な戦い」というニュアンスに
crown 〜を締めくくる、〜を頂点に導く、頂点に立つ
stands tall on 〜に堂々と立つ
LA glory ロサンゼルスの栄光